プレスリリース

January 29, 2025

顧みられない熱帯病とマラリアの製品開発に約20億円の投資 長崎大学、オハイオ州立大学、エーザイ、第一三共などへ助成

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)は、リーシュマニア症を含む顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)およびマラリアに対し、診断薬や治療薬の製品開発8件に、合計約20億円の投資を決定したことを発表いたします1

 

リーシュマニア症対策のための重要な診断ツールに6.7億円を投資

リーシュマニア症は、サシチョウバエにより媒介される寄生虫疾患です。リーシュマニア原虫により引き起こされる顧みられない熱帯病の一つで、年間70万~100万人の新規感染が発生していると推定されています2。この疾患の対策を進めるため、GHIT Fundは、オハイオ州立大学、長崎大学、バングラデシュの国際的研究機関であるicddr,bによる共同プロジェクトに6.7億円を助成します。これまでの研究成果をもとに、リーシュマニン抗原の製剤を改良し、非臨床の安全性および有効性試験を実施し、臨床試験に向けた薬事申請の準備を行います。これにより、感染状況の把握や内臓リーシュマニア症の根絶に向けた取り組みを強化することを目指しています。国際的なパートナーシップによるこの取り組みは、NTDs対策やグローバルヘルスの進展に大きく貢献することが期待されます。

 

さらに、エーザイ株式会社(以下、エーザイ)とMedicines for Malaria Venture(以下、MMV)によるマラリア治療薬の開発に6.8億円、ならびに PATH、GSK Global Health、エーザイ、愛媛大学のパートナーシップによるマラリア予防薬の開発に5.8億円の投資を行います。

 

加えて、以下の5つのスクリーニングプロジェクトに合計約8,300万円の投資を決定しました。

(1)    MMVと第一三共株式会社によるマラリアに対するプロジェクト

(2)    エーザイとDrugs for Neglected Diseases initiatives (DNDi) によるデング熱およびジカ熱に対するプロジェクト

(3)    MMVと理化学研究所によるラッサ熱に対するプロジェクト

(4)    MMVと理化学研究所によるリフトバレー熱に対すプロジェクト

(5)    MMVと理化学研究所によるエボラ出血熱およびマールブルグ病に対するプロジェクト

 

各プロジェクトの概要や開発段階など、詳しくは別紙1をご覧ください。

 

2025年1月30日時点で、37件のプロジェクトに投資しており、内訳として、15件の標的・探索研究、14件の非臨床試験、8件の臨床試験3となります。GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約358億円となります(別紙2)。

 

 

注記

1これらの案件は、2023年6月〜2024年7月にかけて実施した公募RFP2023-002、RFP2024-001(スクリーニングプログラム、製品開発プログラム)の中から選定され、承認されたものです。

WHO(世界保健機関)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/leishmaniasis 参 照

薬事申請の段階にある案件を含みます。診断薬開発において、途上国における 患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱う。