プレスリリース

July 14, 2025

マラリアや結核の製品開発に約10.6億円を投資 大阪大学、欧州ワクチンイニシアチブ、コペンハーゲン大学、テュービンゲン大学などへ助成

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)は、マラリアおよび結核に対するワクチン、治療薬、診断薬の製品開発4件に、合計約10.6億円の投資を決定しました1

 

マラリアのワクチン開発プロジェクトに8億円を投資(助成)

マラリアは世界で年間2億6千万人以上が罹患し、約60万人が命を落としている深刻な感染症です。特にアフリカ地域では全症例の90%以上が集中しており、そのうち70%以上が5歳以下の子どもたちです2。マラリアは蚊を媒介として人に感染し、予防や治療も可能ですが、現在利用可能なワクチンの有効性は限定的で、より高い効果と持続性を持つワクチンの開発が求められています。

 

この課題を対応するため、GHIT Fundは非臨床試験段階にあるマラリアワクチン開発プロジェクトに対し、8億円の投資を決定しました。本プロジェクトは、ドイツに拠点を構える非営利組織「欧州ワクチンイニシアチブ」、大阪大学微生物病研究所(RIMD)、コペンハーゲン大学、ドイツ・テュービンゲン大学、デンマークのバイオテクノロジー企業であるAdaptVac、味の素株式会社、ノーベルファーマ株式会社が参画しています。

 

今回の投資はGHIT Fundが2013年から2022年までに合計約6.3億円を投資したプロジェクトの継続支援となります。本プロジェクトでは、マラリア感染時の赤血球期におけるマラリア原虫の増殖を阻止することを目指し、少ないワクチン投与量で、より高い効能と長期的な持続効果を実現するよう設計されています。製造コストの低減を図ることでマラリア流行地域におけるワクチンへのアクセス向上が期待されています。

 

その他に、以下の3つの研究開発プロジェクトに合計約2.6億円の投資を決定しました。

(1) 愛媛大学およびマレーシアサバ大学によるマラリア診断薬の標的研究プロジェクト

(2) オークランド大学および東京大学による結核治療薬の標的研究プロジェクト

(3) Medicines for Malaria Venture (MMV)、エルピクセル株式会社およびダンディー大学によるマラリア治療薬の標的研究プロジェクト

 

今回の投資では、新たに4つの企業や大学が参画し、39か国、国内外190機関(国内64機関、海外126機関)のパートナーとの連携を通じて、グローバルヘルスの課題解決と製品開発の加速に貢献していきます。

 

各プロジェクトの概要や開発段階など、詳しくは別紙1をご覧ください。

 

2025年7月17日時点で、37件のプロジェクトに投資しており、内訳として、15件の標的・探索研究、13件の非臨床試験、9件の臨床試験3となります。GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約393億円となります(別紙2)。

 

 

 

注記

1これらの案件は、2023年6月〜2024年7月にかけて実施した公募RFP2023-002、RFP2024-001(標的研究プログラム、製品開発プログラム)の中から選定され、承認されたものです。

WHO(世界保健機関)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/malaria 参 照

薬事申請の段階にある案件を含みます。診断薬開発において、途上国における 患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱う。